海外顧客への請求書に、韓国の付加価値税10%は必要か?
「海外の顧客だから当然0%」ではありません。実際の事例から見るゼロ税率の要件。
先日、ある顧客企業からご連絡をいただきました。海外の顧客から依頼を受けて韓国市場の調査を行っているが、最初の請求書を発行するにあたり、付加価値税(VAT。日本の消費税に相当、標準税率10%)を上乗せすべきか分からない、というご相談でした。
結論から言うと、要件を満たせばゼロ税率(0%)、満たさなければ10%です。ゼロ税率は日本の消費税でいう輸出免税に近い仕組みですが、「海外の顧客だから当然0%」ではない点に注意が必要です。
韓国の付加価値税法は、国内から海外顧客に提供される役務のうち一部にのみゼロ税率を認めています(付加価値税法第24条第1項第3号、同法施行令第33条第2項第1号)。基本要件は3つ、専門サービスの場合はもう1つ加わります。
1. 顧客が韓国内に事業場(事業所)を持たない非居住者・外国法人であること
2. 提供する役務が法令で列挙された業種に該当すること(市場調査などの専門サービス、ソフトウェア開発など)
3. 代金を外国為替取扱銀行を通じて受け取ること。外貨の直接送金、支払額との相殺、国外発行クレジットカード決済など、施行規則が定める方法も認められます(同法施行規則第22条)
4. 専門サービス(市場調査を含む)・事業支援サービス・投資助言の場合は相互主義も必要です。相手国が韓国の事業者にも同様の免税を認めているか、付加価値税に類する税が存在しないこと(同法施行令第33条第2項第1号ただし書)。国によって異なるため、請求書を発行する前に確認しておくことが欠かせません。
一つでも欠ければ10%です。誤って0%で請求すると、後日、本税に加算税を上乗せして追徴されるおそれがあります。
このケースでは、相手国が相互免税の対象であることを確認したうえで、ゼロ税率で請求書を発行しました。実務上の補足を2つ。入金証憑(外貨入金証明書など)は付加価値税申告の際にゼロ税率添付書類として提出が必要であり(同法施行令第101条)、この類型の取引では税金計算書(韓国のタックスインボイス)の発行義務は免除されます(同法施行令第71条第1項第5号)。
海外顧客との取引を始めたら、最初の請求書を発行する前に、一度ご確認ください。ご不明な点があれば、お問い合わせページからご連絡ください。
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執筆: JH Kim(韓国公認会計士・KICPA) · 2026年6月
本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、個別事案に対する税務・法律上の助言ではありません。税務上の取扱いは個々の事実関係により異なります。本記事に依拠して行われたいかなる行為についても、会計法人YOONは責任を負いません。実際の適用前には、必ず有資格の専門家による個別の検討を受けてください。2026年6月時点の韓国法令に基づいており、その後の改正により内容が変わる可能性があります。